ステント併用コイル塞栓術を施行した肝切除術後胃十二指腸仮性動脈瘤の1例

症例は67歳,男性.肝門部胆管癌に対して尾状葉全切除兼拡大左葉切除術,肝外胆管切除,2群リンパ節郭清を施行した.特に術後合併症は認めず経過した.術後14日目と術後21日目にドレーン抜去部より多量の血性排液を認め,2回目の緊急腹部造影CTで,胃十二指腸動脈分岐部近傍に約15mmの胃十二指腸仮性動脈瘤を認めた.肝動脈血流温存を第一に考えて動脈塞栓術を選択した.コイル逸脱による右肝動脈閉塞を予防するために,まず固有肝動脈から右肝動脈にかけて冠動脈ステントを留置し,その後コイルによる塞栓術を行った.塞栓術後,バイタルサイン・肝機能は速やかに改善した.拡大肝切除後の胃十二指腸動脈仮性動脈瘤は報告例もまれ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 938 - 942
Main Authors 山口, 方規, 高尾, 貴史, 馬場, 活嘉, 新上, 浩司, 池添, 清彦, 宇治, 祥隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.938

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Summary:症例は67歳,男性.肝門部胆管癌に対して尾状葉全切除兼拡大左葉切除術,肝外胆管切除,2群リンパ節郭清を施行した.特に術後合併症は認めず経過した.術後14日目と術後21日目にドレーン抜去部より多量の血性排液を認め,2回目の緊急腹部造影CTで,胃十二指腸動脈分岐部近傍に約15mmの胃十二指腸仮性動脈瘤を認めた.肝動脈血流温存を第一に考えて動脈塞栓術を選択した.コイル逸脱による右肝動脈閉塞を予防するために,まず固有肝動脈から右肝動脈にかけて冠動脈ステントを留置し,その後コイルによる塞栓術を行った.塞栓術後,バイタルサイン・肝機能は速やかに改善した.拡大肝切除後の胃十二指腸動脈仮性動脈瘤は報告例もまれである上,ステント併用コイル塞栓術の報告例はない.冠動脈ステントを腹部内臓仮性動脈瘤に用いるのは保険適応外治療であるが,仮性動脈瘤塞栓と臓器血流保持の観点から,ステント併用コイル塞栓術は非常に有用であると考えた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.938