大動脈弁狭窄症を伴い,大動脈弁から三尖弁にかけて連続する腫瘤形成をきたした calcified amorphous tumor の1例

症例は79歳女性.16年前に慢性腎不全により透析を導入した.透析中に意識消失発作があり,経胸壁心エコーの結果重症大動脈弁狭窄症(peak flow velocity 5.00 m/s, peak pressure gradient 99.9 mmHg, mean pressure gradient 59.3 mmHg, aortic valve area 0.9 cm2)とともに,大動脈弁無冠尖から三尖弁に連続する腫瘤を認めたため,感染性心内膜炎が疑われた.発熱もなく,血液培養が陰性であったため抗生剤を中止にした後に待機的に手術を施行した.冠動脈病変も合併していたため,大動脈弁置換術+三尖弁疣...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 49; no. 2; pp. 58 - 61
Main Authors 佐々木, 英樹, 石戸谷, 浩, 原田, 崇史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.03.2020
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.49.58

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Summary:症例は79歳女性.16年前に慢性腎不全により透析を導入した.透析中に意識消失発作があり,経胸壁心エコーの結果重症大動脈弁狭窄症(peak flow velocity 5.00 m/s, peak pressure gradient 99.9 mmHg, mean pressure gradient 59.3 mmHg, aortic valve area 0.9 cm2)とともに,大動脈弁無冠尖から三尖弁に連続する腫瘤を認めたため,感染性心内膜炎が疑われた.発熱もなく,血液培養が陰性であったため抗生剤を中止にした後に待機的に手術を施行した.冠動脈病変も合併していたため,大動脈弁置換術+三尖弁疣贅様構造物除去術+冠動脈バイパス術(大伏在静脈-右冠動脈)を行った.術後経過は良好であった.術後の病理結果は細菌性弁膜症,リウマチ性弁膜症を示唆する所見はなく,石灰化,フィブリン様物質,肉芽腫様変化を認め,calcified amorphous tumor(CAT)と診断された.大動脈弁狭窄症を伴い,大動脈弁から三尖弁に連続したCATは非常に稀である.文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.49.58