手術と内視鏡的拡張術で治癒した食道狭窄を伴った球部ガストリノーマの1例

ガストリノーマ(以後,本腫瘍)は稀な疾患である.本腫瘍に随伴するZollinger-Ellison症候群から二度の穿孔性腹膜炎をきたし,また,難治性食道狭窄を呈した1例を経験した.腫瘍切除,減酸,逆流防止を手術的に治療し,食道狭窄には内視鏡的バルーン拡張術を行い奏効したので報告する. 症例は74歳の男性.逆流性食道炎の治療中に,二度の十二指腸穿孔に手術が行われた.その後に全周性の食道狭窄が発症したが,内視鏡的拡張術は効果がなかった.造影CTとSACIテストで十二指腸球部の本腫瘍と診断した.耐術能不良であり縦隔の操作は行わず,球部を長く切除する広範囲胃切除術,Roux-Y再建術が行われた.手術標...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 4; pp. 721 - 726
Main Authors 新村, 一樹, 根本, 洋, 大池, 信之, 橋本, 東児, 加藤, 貴史, 田中, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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Summary:ガストリノーマ(以後,本腫瘍)は稀な疾患である.本腫瘍に随伴するZollinger-Ellison症候群から二度の穿孔性腹膜炎をきたし,また,難治性食道狭窄を呈した1例を経験した.腫瘍切除,減酸,逆流防止を手術的に治療し,食道狭窄には内視鏡的バルーン拡張術を行い奏効したので報告する. 症例は74歳の男性.逆流性食道炎の治療中に,二度の十二指腸穿孔に手術が行われた.その後に全周性の食道狭窄が発症したが,内視鏡的拡張術は効果がなかった.造影CTとSACIテストで十二指腸球部の本腫瘍と診断した.耐術能不良であり縦隔の操作は行わず,球部を長く切除する広範囲胃切除術,Roux-Y再建術が行われた.手術標本で十二指腸球部に5mmの粘膜下腫瘍を認めた.組織像はカルチノイド腫瘍で,免疫染色から本腫瘍と診断された.術後に,食道狭窄に対して改めて内視鏡的拡張術を行い食事摂取は可能となった.術後3年が経過し無再発である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.721