外傷性膵Ⅲb型損傷に対する治療戦略と長期成績

【背景】外傷性膵Ⅲb型損傷の診断と至適術式選択は難しく,短期/長期成績評価が重要である。【目的】外傷性膵Ⅲb型損傷症例に対するERCPによる術前診断と短期/長期成績を評価する。【対象と結果】2007年7月から2018年6月に当科で外傷性膵Ⅲb型損傷に対し外科治療を行った9例。年齢中央値は31歳(8〜77歳)。CTで主膵管損傷を診断し得たのは9例中2例(22%)だが,ERCPでは7例全例で主膵管損傷(完全断裂4例,部分損傷3例)が診断された。膵瘻4例(44%),胆汁瘻1例(11%)。観察期間中央値57ヵ月(5〜80ヵ月)で,PDを施行した8例のうち若年齢を中心に吻合部狭窄(胆管空腸4例(50%)...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 5; pp. 839 - 843
Main Authors 野毛, 誠示, 大島, 稔, 須藤, 広誠, 岡野, 圭一, 浅野, 栄介, 鈴木, 康之, 松川, 浩之, 上村, 淳, 安藤, 恭久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2019
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.839

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Summary:【背景】外傷性膵Ⅲb型損傷の診断と至適術式選択は難しく,短期/長期成績評価が重要である。【目的】外傷性膵Ⅲb型損傷症例に対するERCPによる術前診断と短期/長期成績を評価する。【対象と結果】2007年7月から2018年6月に当科で外傷性膵Ⅲb型損傷に対し外科治療を行った9例。年齢中央値は31歳(8〜77歳)。CTで主膵管損傷を診断し得たのは9例中2例(22%)だが,ERCPでは7例全例で主膵管損傷(完全断裂4例,部分損傷3例)が診断された。膵瘻4例(44%),胆汁瘻1例(11%)。観察期間中央値57ヵ月(5〜80ヵ月)で,PDを施行した8例のうち若年齢を中心に吻合部狭窄(胆管空腸4例(50%),膵空腸2例(25%))を認め,2例(25%)で再手術を要した。【結語】外傷性膵Ⅲb型損傷に対するERCPはより正確な主膵管損傷評価が可能。若年例に晩期合併症を認め,今後の課題である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.839