ビタミンB1静脈投与によりせん妄の改善を得た終末期子宮頸がんの1例

【目的】がん終末期のせん妄の20~50%では可逆性を認めるとされ, その診断は終末期がん患者のquality of life維持に重要と考える. 今回われわれは, ビタミンB1静脈投与によりせん妄の改善を得た終末期がんの1例を経験したので報告する. 【症例】83歳, 女性. 進行子宮頸がん, がん性腹膜炎を合併していた. 入院後に睡眠覚醒リズム障害, 注意集中困難などの症状が出現し, せん妄と診断した. 薬剤, 器質的脳疾患など明らかな原因を認めず, 血液検査上ビタミンB1濃度が低値(19ng/ml)であったため, ビタミンB1欠乏症と診断し, 静脈投与を開始した. その後, せん妄症状は1週...

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Published inPalliative Care Research Vol. 4; no. 2; pp. 330 - 333
Main Authors 西崎, 久純, 大坂, 巌, 栗原, 幸江, 中澤, 秀雄, 青木, 茂, 安達, 勇, 渡邊, 紘章, 奥津, 輝男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2009
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.4.330

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Summary:【目的】がん終末期のせん妄の20~50%では可逆性を認めるとされ, その診断は終末期がん患者のquality of life維持に重要と考える. 今回われわれは, ビタミンB1静脈投与によりせん妄の改善を得た終末期がんの1例を経験したので報告する. 【症例】83歳, 女性. 進行子宮頸がん, がん性腹膜炎を合併していた. 入院後に睡眠覚醒リズム障害, 注意集中困難などの症状が出現し, せん妄と診断した. 薬剤, 器質的脳疾患など明らかな原因を認めず, 血液検査上ビタミンB1濃度が低値(19ng/ml)であったため, ビタミンB1欠乏症と診断し, 静脈投与を開始した. その後, せん妄症状は1週間ほどですべて改善した. 【結論】本症例は, 安定した経口摂取中に, 腸管通過障害に伴う吸収不良が原因と考えられる, ビタミンB1欠乏症によるせん妄を発症した. がん終末期には, 経口摂取不良や発熱による利用亢進, 消化管合併症による吸収障害などをきたしやすく, 原因の不明確なせん妄には, ビタミンB1欠乏症の検討も必要と考えられた. Palliat Care Res 2009; 4(2): 330-333
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.4.330