偶発的に発見された非浸潤性小葉癌と非浸潤性乳管癌が併存した1例

偶発的に発見される非浸潤性小葉癌(LCIS)は増加傾向にあるが,その取り扱いに関しては苦慮することがある.症例は44歳,女性.左乳房痛を主訴に受診した.視触診上,両側乳房に異常はなく,マンモグラフィは良性石灰化を認めるのみであった.超音波検査では右乳腺D領域に内部に高エコーを伴う境界明瞭粗糙で分葉形の腫瘤を認めた.針生検で線維腺腫およびLCISが疑われたため,腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は,周囲にLCISと非浸潤性乳管癌(DCIS)を伴う線維腺腫であった.いずれも断端陽性であったため,追加の乳房部分切除術を行った.LCISは一部断端陽性となったが,再々追加切除は行わず,温存乳房に対する放...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 3; pp. 417 - 422
Main Authors 菅, 淳, 井上, 隆, 瀬山, 厚司, 松並, 展輝, 林, 雅規, 上田, 晃志郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.417

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Summary:偶発的に発見される非浸潤性小葉癌(LCIS)は増加傾向にあるが,その取り扱いに関しては苦慮することがある.症例は44歳,女性.左乳房痛を主訴に受診した.視触診上,両側乳房に異常はなく,マンモグラフィは良性石灰化を認めるのみであった.超音波検査では右乳腺D領域に内部に高エコーを伴う境界明瞭粗糙で分葉形の腫瘤を認めた.針生検で線維腺腫およびLCISが疑われたため,腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は,周囲にLCISと非浸潤性乳管癌(DCIS)を伴う線維腺腫であった.いずれも断端陽性であったため,追加の乳房部分切除術を行った.LCISは一部断端陽性となったが,再々追加切除は行わず,温存乳房に対する放射線照射を行った.Tamoxifen citrateにて経過観察中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.417