閉塞性肺炎を生じ中葉切除を行った気管支異物の1例

症例は69歳,男性.脳出血の既往があり,左片麻痺があった.歯科治療中に歯冠の誤嚥を疑われたが,精査を拒否していた.約1カ月後に咳嗽と喀痰,発熱を認めたため前医を受診し,気管支異物による閉塞性肺炎と診断され,当院へ搬送された.胸部CTスキャンで異物は右B5に陥入しており,中葉全体に含気がなく閉塞性肺炎となっていた.気管支鏡ではB5の著明な肉芽のために異物を視認することができなかった.X線透視を頼りに鉗子などを用いて摘出を試みたができなかったため,手術を行った.中葉は分泌物で緊満しており,咳嗽反射が減弱した患者では術後に痰の喀出が不十分となる危険性があると考え,右中葉を切除して歯冠を摘出した.気管...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 5; pp. 958 - 961
Main Authors 濱本, 篤, 河野, 光智, 岩崎, 正之, 中川, 知己, 壺井, 貴朗, 増田, 良太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.958

Cover

More Information
Summary:症例は69歳,男性.脳出血の既往があり,左片麻痺があった.歯科治療中に歯冠の誤嚥を疑われたが,精査を拒否していた.約1カ月後に咳嗽と喀痰,発熱を認めたため前医を受診し,気管支異物による閉塞性肺炎と診断され,当院へ搬送された.胸部CTスキャンで異物は右B5に陥入しており,中葉全体に含気がなく閉塞性肺炎となっていた.気管支鏡ではB5の著明な肉芽のために異物を視認することができなかった.X線透視を頼りに鉗子などを用いて摘出を試みたができなかったため,手術を行った.中葉は分泌物で緊満しており,咳嗽反射が減弱した患者では術後に痰の喀出が不十分となる危険性があると考え,右中葉を切除して歯冠を摘出した.気管支鏡下に摘出できない場合には患者ごとに適切な術式の選択をする必要がある.また,これまで中葉気管支の異物は報告が少ない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.958