腹腔鏡下に完全切除した腹腔内突出型腹壁脂肪腫の1例
症例は48歳,男性.人間ドックの腹部超音波検査にて,右腎腹側に6cm大の腫瘤を認め,精査目的に当院紹介となった.腹部造影CTでは,右腹横筋に接して6cm大の境界明瞭で内部均一な腫瘤性病変を認め,腹部MRIでは,T1脂肪抑制画像で内部均一な低信号を認めた.注腸造影検査では,横行結腸肝弯曲中心に壁外性の圧排像を認めた.以上より腹横筋脂肪腫が疑われ,悪性腫瘍が否定できないため手術の方針となった.画像上,腫瘍は腹腔内に突出していたため腹腔鏡下手術の方針とした.右肋骨弓下に突出する腫瘍を認め,周囲臓器への浸潤はなく腹膜および腹膜前脂肪織・腹横筋の一部とともに合併切除した.病理組織学的所見は,被膜を有し異...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 3; pp. 615 - 619 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2017
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.78.615 |
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Summary: | 症例は48歳,男性.人間ドックの腹部超音波検査にて,右腎腹側に6cm大の腫瘤を認め,精査目的に当院紹介となった.腹部造影CTでは,右腹横筋に接して6cm大の境界明瞭で内部均一な腫瘤性病変を認め,腹部MRIでは,T1脂肪抑制画像で内部均一な低信号を認めた.注腸造影検査では,横行結腸肝弯曲中心に壁外性の圧排像を認めた.以上より腹横筋脂肪腫が疑われ,悪性腫瘍が否定できないため手術の方針となった.画像上,腫瘍は腹腔内に突出していたため腹腔鏡下手術の方針とした.右肋骨弓下に突出する腫瘍を認め,周囲臓器への浸潤はなく腹膜および腹膜前脂肪織・腹横筋の一部とともに合併切除した.病理組織学的所見は,被膜を有し異型に乏しい脂肪組織の増生を認め,辺縁に全周性に筋組織が付着するintermuscular lipomaと診断した.腹壁由来脂肪腫を腹腔鏡下に切除しえた症例は非常に稀であるため,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.78.615 |