腹臥位呼吸管理とステロイド投与が奏効した食道癌術後ARDSの1例
症例は72歳の男性.Stage IIIの胸部食道癌の診断で,術前化学療法を2コース施行後に食道亜全摘,3領域郭清,胃管後縦隔経路再建術を施行した.術翌日より誤嚥からの重症肺炎を併発し,人工呼吸管理を要した.抗菌薬投与を行うが改善せず,acute respiratory distress syndrome(以下,ARDS)に進展した.術後18日目より腹臥位呼吸管理とステロイド投与を開始すると,徐々に酸素化能の改善が得られ,人工呼吸器から離脱可能となり救命できた.重症ARDSに対する腹臥位呼吸管理の有用性が近年報告されている.一方で,ステロイド治療への評価は定まっていない.本症例は,腹臥位呼吸管理...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 5; pp. 994 - 997 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.76.994 |
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Summary: | 症例は72歳の男性.Stage IIIの胸部食道癌の診断で,術前化学療法を2コース施行後に食道亜全摘,3領域郭清,胃管後縦隔経路再建術を施行した.術翌日より誤嚥からの重症肺炎を併発し,人工呼吸管理を要した.抗菌薬投与を行うが改善せず,acute respiratory distress syndrome(以下,ARDS)に進展した.術後18日目より腹臥位呼吸管理とステロイド投与を開始すると,徐々に酸素化能の改善が得られ,人工呼吸器から離脱可能となり救命できた.重症ARDSに対する腹臥位呼吸管理の有用性が近年報告されている.一方で,ステロイド治療への評価は定まっていない.本症例は,腹臥位呼吸管理とステロイドによる治療の併用がARDSに対して奏効したと考えられ,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.76.994 |