高度な肝障害と腹水を呈した肝炎症性偽腫瘍の一例
症例は49歳女性.4カ月前より全身倦怠感と食欲不振が出現し,体重減少(6 kg/3カ月)を認めた.1カ月前から下腿浮腫が出現した.近医での血液検査で肝障害を指摘され当科紹介受診.AST 800 IU/L,ALT 641 IU/Lと肝障害を示し,AFP 103 ng/ml,CA19-9 65 U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた.腹部超音波検査では,肝S3からS4に,内部不均一,境界不明瞭な低エコー域を認めた.CT,MRIでは肝門部から肝左葉にかけて濃染効果を認める腫瘤影を認めた.また,腹水と腹腔内リンパ節腫大を伴っていた.経過観察にて血液検査や症状は改善し,2カ月後に腹水と下腿浮腫は消失した....
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Published in | 肝臓 Vol. 59; no. 1; pp. 47 - 55 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.59.47 |
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Summary: | 症例は49歳女性.4カ月前より全身倦怠感と食欲不振が出現し,体重減少(6 kg/3カ月)を認めた.1カ月前から下腿浮腫が出現した.近医での血液検査で肝障害を指摘され当科紹介受診.AST 800 IU/L,ALT 641 IU/Lと肝障害を示し,AFP 103 ng/ml,CA19-9 65 U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた.腹部超音波検査では,肝S3からS4に,内部不均一,境界不明瞭な低エコー域を認めた.CT,MRIでは肝門部から肝左葉にかけて濃染効果を認める腫瘤影を認めた.また,腹水と腹腔内リンパ節腫大を伴っていた.経過観察にて血液検査や症状は改善し,2カ月後に腹水と下腿浮腫は消失した.精査のため肝生検を行い,肝炎症性偽腫瘍と組織診断した.無治療で腫瘍は縮小し,炎症性偽腫瘍に合致する経過であった.高度な肝障害,腹水貯留,腹腔内リンパ節腫大を伴う肝炎症性偽腫瘍の報告はなく,稀な症例と考え報告した. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.59.47 |