腹腔鏡下に診断した門脈ガス血症とガス産生肝膿瘍を伴った胆嚢炎の1例

症例は79歳,男性.心窩部痛の精査で施行したCTで門脈ガス血症を認めた.明らかな腸管虚血所見は認めなかったので入院にて経過観察とした.翌日の再検CTでfree airとガス産生肝膿瘍を認め,腹部症状も持続していたために腹腔内精査を要するものと判断し,審査腹腔鏡を施行した.腸管に異常所見は認めなかったが,胆嚢に発赤と緊満を認め,胆嚢炎に併発した門脈ガス血症とガス産生肝膿瘍と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.以後,速やかに腹部症状の改善を認め,術後第18病日に退院となった.後日,静脈血と胆汁の細菌培養でClostridium perfringensが検出され最終診断に至った.門脈ガス血症は予後...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 607 - 613
Main Authors 迫川, 賢士, 宮原, 栄治, 亀田, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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Summary:症例は79歳,男性.心窩部痛の精査で施行したCTで門脈ガス血症を認めた.明らかな腸管虚血所見は認めなかったので入院にて経過観察とした.翌日の再検CTでfree airとガス産生肝膿瘍を認め,腹部症状も持続していたために腹腔内精査を要するものと判断し,審査腹腔鏡を施行した.腸管に異常所見は認めなかったが,胆嚢に発赤と緊満を認め,胆嚢炎に併発した門脈ガス血症とガス産生肝膿瘍と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.以後,速やかに腹部症状の改善を認め,術後第18病日に退院となった.後日,静脈血と胆汁の細菌培養でClostridium perfringensが検出され最終診断に至った.門脈ガス血症は予後不良の徴候とされるが,早期に診断を確定し積極的治療を行うことで治療成績の向上が見込まれる.今回われわれは,腹腔鏡下に診断しえた,門脈ガス血症とガス産生肝膿瘍を伴った胆嚢炎の1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.607