76歳に発症した小腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例

症例は76歳,男性.外傷歴,開腹歴.腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞と診断され入院した.翌日,症状が悪化し当院転院搬送された.来院時,腹部全体が板状硬であった.腹部造影CTでは造影効果不良な小腸ループと腸間膜血管の集簇像と腹水を認めた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.開腹すると血性腹水と壊死腸管を認めた.回盲弁から30cm離れた回腸腸間膜に異常裂孔が存在し,回腸が嵌入,捻転し壊死していたため,回腸100cmを切除した.術後,誤嚥性肺炎を発症し抗生剤治療とミニトラック挿入を要したが,術後24日目に軽快退院した.小腸間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの一つで主に小児に好発し,高齢者では稀な疾...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 2; pp. 363 - 367
Main Authors 十倉, 三千代, 安野, 正道, 花岡, まりえ, 山内, 慎一, 菊池, 章史, 松山, 貴俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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Summary:症例は76歳,男性.外傷歴,開腹歴.腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞と診断され入院した.翌日,症状が悪化し当院転院搬送された.来院時,腹部全体が板状硬であった.腹部造影CTでは造影効果不良な小腸ループと腸間膜血管の集簇像と腹水を認めた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.開腹すると血性腹水と壊死腸管を認めた.回盲弁から30cm離れた回腸腸間膜に異常裂孔が存在し,回腸が嵌入,捻転し壊死していたため,回腸100cmを切除した.術後,誤嚥性肺炎を発症し抗生剤治療とミニトラック挿入を要したが,術後24日目に軽快退院した.小腸間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの一つで主に小児に好発し,高齢者では稀な疾患である.今回われわれは,高齢者に発症した小腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.363