自然発生性parasitic leiomyomaの2例

Parasitic leiomyomaは,子宮から完全に分離した状態で発育する異所性平滑筋腫である.有茎性漿膜下筋腫が周囲臓器や腹膜,腹壁と癒着して栄養血管を獲得した後に子宮から茎部で離断される場合や,自然脱落あるいは医原性に腹腔内に生着する場合がある.今回,稀な自然発生性parasitic leiomyomaの2例を経験した.(症例1)46歳,女性.稽留流産手術を契機に可動性のある骨盤内腫瘤を指摘された.大網からの栄養血管を有する腫瘤に対し,腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した.(症例2)78歳,女性.小腸壁に固着した石灰化を伴う腫瘤を機転とした絞扼性イレウスに対し,緊急手術を施行した.2例ともに画...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 3; pp. 569 - 574
Main Authors 吉川, 弘太, 濵田, 信男, 本髙, 浩徐, 中村, 登
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:Parasitic leiomyomaは,子宮から完全に分離した状態で発育する異所性平滑筋腫である.有茎性漿膜下筋腫が周囲臓器や腹膜,腹壁と癒着して栄養血管を獲得した後に子宮から茎部で離断される場合や,自然脱落あるいは医原性に腹腔内に生着する場合がある.今回,稀な自然発生性parasitic leiomyomaの2例を経験した.(症例1)46歳,女性.稽留流産手術を契機に可動性のある骨盤内腫瘤を指摘された.大網からの栄養血管を有する腫瘤に対し,腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した.(症例2)78歳,女性.小腸壁に固着した石灰化を伴う腫瘤を機転とした絞扼性イレウスに対し,緊急手術を施行した.2例ともに画像および病理組織検査により,parasitic leiomyomaと診断された.成人女性,特に子宮筋腫やその手術既往がある場合は,腹腔内腫瘤の鑑別診断として本疾患も考慮すべきである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.569