十二指腸憩室からの落下腸石により腸閉塞をきたしたと考えられた1例

症例は84歳,女性。1週間前から腹痛と嘔吐を自覚し,腸閉塞の診断で前医に入院したが,症状が改善しないため精査加療目的に当院転院となった。CTで左側腹部の小腸内に腫瘤を認め,USで腫瘤は高エコーを呈しており,異物の存在が疑われた。異物口側小腸は拡張しており,異物による腸閉塞と考えた。イレウス管を挿入したが症状は改善せず,小腸内視鏡での摘出もできなかったため,手術を施行した。鏡視下に異物を内包した小腸を同定し,臍部を小開腹して異物を摘出した。異物は3.5×3.0×2.5cm,黄色調を呈しており,結石分析で胆汁酸結石と診断された。過去の画像を検討すると,以前から十二指腸下行脚に憩室がみられ,6ヵ月前...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 717 - 722
Main Authors 蔵谷, 大輔, 花本, 尊之, 小林, 展大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.717

Cover

More Information
Summary:症例は84歳,女性。1週間前から腹痛と嘔吐を自覚し,腸閉塞の診断で前医に入院したが,症状が改善しないため精査加療目的に当院転院となった。CTで左側腹部の小腸内に腫瘤を認め,USで腫瘤は高エコーを呈しており,異物の存在が疑われた。異物口側小腸は拡張しており,異物による腸閉塞と考えた。イレウス管を挿入したが症状は改善せず,小腸内視鏡での摘出もできなかったため,手術を施行した。鏡視下に異物を内包した小腸を同定し,臍部を小開腹して異物を摘出した。異物は3.5×3.0×2.5cm,黄色調を呈しており,結石分析で胆汁酸結石と診断された。過去の画像を検討すると,以前から十二指腸下行脚に憩室がみられ,6ヵ月前のCTで十二指腸憩室内に斑状のair densityを含む内部不均一な類円形腫瘤を認めていた。腸閉塞をきたした際のCTでは十二指腸憩室内の腸石は消失しており,落下腸石による腸閉塞と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.717