X連鎖型アルポート症候群におけるIV型コラーゲンα3鎖, α4鎖 mRNAの発現

X連鎖型アルポート症候群はIV型コラーゲンα5鎖遺伝子の異常により起こるが,α5鎖以外にα3,α4鎖蛋白にも異常を認める。α5鎖遺伝子の異常がα3,α4鎖蛋白の異常を起こす機序は不明である。X連鎖型アルポート症候群の重症度はα3,α4鎖蛋白の異常の程度と相関し,α3,α4鎖蛋白異常の発現機序解明は極めて重要である。  X連鎖型アルポート症候群におけるα3,α4鎖mRNAの発現を検討する目的で,α3,α4,α5鎖蛋白の発現に異常を認めたX連鎖型アルポート症候群患者の腎生検組織皮質から総RNAを抽出し,ランダムヘキサプライマーを用いてreverse transcription-polymerase...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 129 - 132
Main Authors 吉川, 徳茂, 中西, 浩一, 井上, 祐司, 中村, 肇, 飯島, 一誠, 下村, 真由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 1995
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.8.129

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Summary:X連鎖型アルポート症候群はIV型コラーゲンα5鎖遺伝子の異常により起こるが,α5鎖以外にα3,α4鎖蛋白にも異常を認める。α5鎖遺伝子の異常がα3,α4鎖蛋白の異常を起こす機序は不明である。X連鎖型アルポート症候群の重症度はα3,α4鎖蛋白の異常の程度と相関し,α3,α4鎖蛋白異常の発現機序解明は極めて重要である。  X連鎖型アルポート症候群におけるα3,α4鎖mRNAの発現を検討する目的で,α3,α4,α5鎖蛋白の発現に異常を認めたX連鎖型アルポート症候群患者の腎生検組織皮質から総RNAを抽出し,ランダムヘキサプライマーを用いてreverse transcription-polymerase chain reaction法を行い,glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenaseを内因性コントロールにしてα3,α4鎖mRNAの発現を半定量的に検討した。重症型家系の男性および女性患者,軽症型家系の男性患者のいずれも,対照に比してα3,α4鎖mRNAの発現に明らかな差はなかった。X連鎖型アルポート症候群におけるα3,α4鎖mRNAの発現は正常であり,蛋白レベルでの異常はα3,α4鎖蛋白の糸球体基底膜への組み込み異常の結果起こると考えられる。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.8.129