遺伝性乳癌卵巣癌に対するリスク低減卵管卵巣摘出術で経験したオカルト癌
遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer : HBOC)は,癌の易罹患性症候群である.HBOC関連卵巣癌に関して,最も確実に予後を改善する方法としてリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingooophorectomy : RRSO)が推奨されている.NCCNガイドラインVersion 1.2020では家族計画が終了していればBRCA1の病的バリアント保持者では35歳から40歳を目安に,BRCA2の病的バリアント保持者では40歳から45歳を目途にRRSOを行うことを推奨している.がん研有明病院(以下,当院)ではこれまでに...
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Published in | 遺伝性腫瘍 Vol. 20; no. 3; pp. 136 - 141 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
30.12.2020
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Summary: | 遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer : HBOC)は,癌の易罹患性症候群である.HBOC関連卵巣癌に関して,最も確実に予後を改善する方法としてリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingooophorectomy : RRSO)が推奨されている.NCCNガイドラインVersion 1.2020では家族計画が終了していればBRCA1の病的バリアント保持者では35歳から40歳を目安に,BRCA2の病的バリアント保持者では40歳から45歳を目途にRRSOを行うことを推奨している.がん研有明病院(以下,当院)ではこれまでに78例のHBOC症例にRRSOを施行してきたが,3例(3.8%)のオカルト癌を経験した.3例の内訳は,2例がBRCA1病的バリアント保持者(73歳と44歳)で,1例がBRCA2 病的バリアント保持者(47歳)であった.いずれもNCCNガイドラインのRRSO施行推奨年齢を超えていた.3例とも手術の1か月前に骨盤MRI,腫瘍マーカーの測定を行っていたが,いずれも悪性所見を認めなかった.当院の経験においてもサーベイランスでの早期発見は困難であるということ,そしてNCCNガイドラインのRRSO施行推奨年齢は日本人においても妥当である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 2435-6808 |
DOI: | 10.18976/jsht.20.3_136 |