内鼠径ヘルニアとSpigelヘルニアが併存した1例

症例は69歳の男性で約5年前に出現した左鼠径部の腫脹の増大を主訴に当院を受診した。腹部超音波で左鼠径部に2ヵ所のヘルニア門を認め,頭側からは小腸と思われる腫瘤像が,尾側からは脂肪組織と思われる腫瘤像が脱出していた。内外鼠径ヘルニア合併の診断で手術を施行した。局所麻酔下に左内鼠径輪から恥骨方向に鼠径靭帯と平行に皮膚切開を加えた。続いて外腹斜筋腱膜を切開して鼠径管を開放すると下腹壁動静脈の内側から脱出する内鼠径ヘルニアを認めるとともに内腹斜筋腱膜を貫通して脱出するSpigelヘルニアを認めた。外鼠径ヘルニアは認めなかった。内鼠径ヘルニア,Spigelヘルニアともにメッシュプラグ法で修復した。Spi...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 139 - 142
Main Authors 川勝, 章司, 磯谷, 正敏, 原田, 徹, 金岡, 祐次, 亀井, 圭太郎, 前田, 敦行, 高山, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
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Summary:症例は69歳の男性で約5年前に出現した左鼠径部の腫脹の増大を主訴に当院を受診した。腹部超音波で左鼠径部に2ヵ所のヘルニア門を認め,頭側からは小腸と思われる腫瘤像が,尾側からは脂肪組織と思われる腫瘤像が脱出していた。内外鼠径ヘルニア合併の診断で手術を施行した。局所麻酔下に左内鼠径輪から恥骨方向に鼠径靭帯と平行に皮膚切開を加えた。続いて外腹斜筋腱膜を切開して鼠径管を開放すると下腹壁動静脈の内側から脱出する内鼠径ヘルニアを認めるとともに内腹斜筋腱膜を貫通して脱出するSpigelヘルニアを認めた。外鼠径ヘルニアは認めなかった。内鼠径ヘルニア,Spigelヘルニアともにメッシュプラグ法で修復した。Spigelヘルニアは比較的まれであり広く認知されているとは言い難い疾患であるが高齢化とともに増加が予想されている。術後の再発率は0.7%と低率であり,慎重に診断し治療を行うことが重要であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.139