緩和ケア病棟入院中に発症したフルニエ壊疽に対し局所的ドレナージを行い, 症状緩和が得られた終末期膀胱がんの1例

症例は70歳代男性, 局所進行膀胱がんで入院中にフルニエ壊疽を発症した. 緩和ケア病棟に入院していたが, 疼痛がきわめて強かったため, 症状緩和を目的とし, 局所麻酔下に陰嚢を切開しドレナージを行った. 術後は創処置時に疼痛を訴えるのみで, 安静時には疼痛の訴えはなかった. また, 患者は誕生日を迎えることができ, 家族と共に穏やかに過ごすことができた. フルニエ壊疽は会陰部・肛門の壊死性筋膜炎で, 急速に炎症が広範囲に至り, 死亡率が高い. がん終末期に発症したフルニエ壊疽に対し, どこまで治療を行うかについては症例に応じた判断に基づくのが現状であろう. 自験例ではドレナージが疼痛緩和のみな...

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Published inPalliative Care Research Vol. 6; no. 2; pp. 340 - 343
Main Authors 橋本, 良博, 岩瀬, 豊, 池上, 要介, 神谷, 浩行, 柴原, 弘明, 西村, 大作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2011
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.6.340

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Summary:症例は70歳代男性, 局所進行膀胱がんで入院中にフルニエ壊疽を発症した. 緩和ケア病棟に入院していたが, 疼痛がきわめて強かったため, 症状緩和を目的とし, 局所麻酔下に陰嚢を切開しドレナージを行った. 術後は創処置時に疼痛を訴えるのみで, 安静時には疼痛の訴えはなかった. また, 患者は誕生日を迎えることができ, 家族と共に穏やかに過ごすことができた. フルニエ壊疽は会陰部・肛門の壊死性筋膜炎で, 急速に炎症が広範囲に至り, 死亡率が高い. がん終末期に発症したフルニエ壊疽に対し, どこまで治療を行うかについては症例に応じた判断に基づくのが現状であろう. 自験例ではドレナージが疼痛緩和のみならず, 患者と家族の精神的ケアにつながった. フルニエ壊疽の局所的ドレナージは緩和治療の1つとして考慮してもよいのではないかと思われる. Palliat Care Res 2011; 6(2): 340-343
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.6.340