神経障害を認めた重症胸腹部損傷合併外傷性窒息の1例

外傷性窒息は強い外力が胸郭に加わった際に発症し,顔面・頸部・前胸部の溢血斑,眼球結膜の充血,顔面腫脹等が特徴であり,脳循環障害により意識障害を呈することがある。今回,42歳男性がトラックの下敷きになり外傷性窒息を呈し,意識障害,眼球機能障害の神経障害を呈した症例を経験した。本症例は緊張性気胸,肝損傷等の重症胸腹部損傷,出血性ショックを合併し,受傷直後より意識障害を認めたが,左半盲以外の脳後遺症を残すことなく救命できた。外傷性窒息はその受傷機転から,本症例のように重症胸腹部損傷を合併することがあるので,意識障害や眼球機能障害等の神経障害や外見所見に惑わされることなく,外傷初期診療ガイドラインに準...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 19; no. 1; pp. 75 - 78
Main Authors 後藤, 眞理亜, 比留間, 孝広, 有馬, 孝博, 金澤, 剛, 佐藤, 美香子, 五十嶺, 伸二, 境田, 康二, 花上, 和生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.2012
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.19.75

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Summary:外傷性窒息は強い外力が胸郭に加わった際に発症し,顔面・頸部・前胸部の溢血斑,眼球結膜の充血,顔面腫脹等が特徴であり,脳循環障害により意識障害を呈することがある。今回,42歳男性がトラックの下敷きになり外傷性窒息を呈し,意識障害,眼球機能障害の神経障害を呈した症例を経験した。本症例は緊張性気胸,肝損傷等の重症胸腹部損傷,出血性ショックを合併し,受傷直後より意識障害を認めたが,左半盲以外の脳後遺症を残すことなく救命できた。外傷性窒息はその受傷機転から,本症例のように重症胸腹部損傷を合併することがあるので,意識障害や眼球機能障害等の神経障害や外見所見に惑わされることなく,外傷初期診療ガイドラインに準じた診療を行い,手術適応を決めることが重要である。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.19.75