抗悪性腫瘍薬Paclitaxelの生殖・発生毒性試験(第2報) : ラットにおける胎児の器官形成期静脈内投与試験
抗悪性腫瘍薬Paclitaxelを0, 0.15, 0.3及び0.6 mg/kg/日の割合で妊娠Crj: CD (SD)ラットに, 妊娠7日より17日までの11日間反復静脈内投与し, 次の結果を得た。1. 溶媒の投与により胎児(F1)の舌骨体の骨化は遅延したが, その他の生殖及び発達に関するパラメータに, 溶媒投与の影響は認められなかった。2. 母獣(F0)の妊娠期間中及び哺育期間中の体重及び摂餌量に, paclitaxel投与群と生理食塩液投与群との間で差異はみられなかった。3. 母獣(F0)の器官重量に対するpaclitaxel投与の影響は認めろれなかった。4. 胎児(F1)の発育に及ぼす...
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Published in | The Journal of Toxicological Sciences Vol. 19; no. SupplementI; pp. 69 - 91 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
一般社団法人 日本毒性学会
1994
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0388-1350 1880-3989 |
DOI | 10.2131/jts.19.SupplementI_69 |
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Summary: | 抗悪性腫瘍薬Paclitaxelを0, 0.15, 0.3及び0.6 mg/kg/日の割合で妊娠Crj: CD (SD)ラットに, 妊娠7日より17日までの11日間反復静脈内投与し, 次の結果を得た。1. 溶媒の投与により胎児(F1)の舌骨体の骨化は遅延したが, その他の生殖及び発達に関するパラメータに, 溶媒投与の影響は認められなかった。2. 母獣(F0)の妊娠期間中及び哺育期間中の体重及び摂餌量に, paclitaxel投与群と生理食塩液投与群との間で差異はみられなかった。3. 母獣(F0)の器官重量に対するpaclitaxel投与の影響は認めろれなかった。4. 胎児(F1)の発育に及ぼすpaclitaxelの影響はみられなかった。5. Paclitaxel投与に基因すると考えられる胎児(F1)の外表奇形, 内部異常及び骨格奇形はみられなかった。また, 骨格変異及び骨化進行度に対するpaclitaxelの影響はみられなかった。6. 新生児(F1)の出生状況及び生存率に及ぼすpaclitaxel投与の影響は認められなかった。7. 育成児(F1)の毛生に至る日数は, paclitaxel 0.6 mg/kg群で有意に遅延したが, 耳介開展, 切歯萌出, 眼瞼開裂, 精巣下降及び膣開口に至る日数には, paclitaxel各投与群と生理食塩液投与群との間で差異はみられなかった。8. 雌雄F1ラットの体重及び摂餌量に対するpaclitaxel投与の影響はみられなかった。9. F1ラットの行動発達, 学習能力及び記憶, 自発運動量並びに情動性に及ぼすpaclitaxelの影響は認められなかった。10. Paclitaxelは雌雄F1ラットの生殖能に, 悪影響を及ぼさなかった。11. 雌雄F1ラットの器官重量にpaclitaxelの影響は認められなかった。12. 妊娠F1ラットより得られた胎児(F2)の発育に及ぼすpaclitaxel投与の影響は認められなかった。以上の結果より, 生殖及び発達に関する指標から判断して, 本試験におけるpaclitaxelの親動物(F0)及び次世代(F1)に対する無影響量はそれぞれ0.6mg/kg/日及び0.3 mg/kg/日と考えられた。 |
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ISSN: | 0388-1350 1880-3989 |
DOI: | 10.2131/jts.19.SupplementI_69 |