腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した25cm大の脾海綿状血管腫の1例

原発性脾腫瘍は稀な疾患であり,脾嚢胞・血管腫・リンパ管腫・過誤腫・悪性リンパ腫・転移性腫瘍・血管肉腫などが報告されている.今回われわれは,術前に脾動脈塞栓術を施行し,脾門部先行処理で腹腔鏡下脾臓摘出術を施行しえた本邦最大級の脾海綿状血管腫症例を経験した.症例は31歳,女性.約2年5カ月前に腹部エコーにて脾腫瘤を指摘され,無治療経過観察されていた.嘔気を主訴に受診し,25cm大の巨大な脾原発脾血管腫と診断された.出血予防と脾臓の体積減少目的で手術前日に脾動脈塞栓を施行した.脾動脈塞栓後より強い腹痛を認めたが,硬膜外麻酔と経口鎮痛剤を併用し疼痛コントロールは可能であった.脾門部先行処理で腹腔鏡下脾...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 2; pp. 410 - 415
Main Authors 末廣, 祐樹, 釘宮, 成二, 竹本, 圭宏, 原田, 栄二郎, 中村, 丘, 濱野, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:原発性脾腫瘍は稀な疾患であり,脾嚢胞・血管腫・リンパ管腫・過誤腫・悪性リンパ腫・転移性腫瘍・血管肉腫などが報告されている.今回われわれは,術前に脾動脈塞栓術を施行し,脾門部先行処理で腹腔鏡下脾臓摘出術を施行しえた本邦最大級の脾海綿状血管腫症例を経験した.症例は31歳,女性.約2年5カ月前に腹部エコーにて脾腫瘤を指摘され,無治療経過観察されていた.嘔気を主訴に受診し,25cm大の巨大な脾原発脾血管腫と診断された.出血予防と脾臓の体積減少目的で手術前日に脾動脈塞栓を施行した.脾動脈塞栓後より強い腹痛を認めたが,硬膜外麻酔と経口鎮痛剤を併用し疼痛コントロールは可能であった.脾門部先行処理で腹腔鏡下脾臓摘出術を施行し,術後合併症は無く第9病日に軽快退院となった.巨大な脾腫瘍に対する腹腔鏡手術における工夫と文献学的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.410