Meckel憩室のmesodiverticular vascular bandによる絞扼性イレウスの1例

症例は19歳男性。突然の下腹部痛と下痢・嘔吐を主訴に,前医を受診,イレウスの診断で当院へ紹介となった。下腹部に腹膜刺激症状を認め,腹部造影CT検査でclosed loopと腹水を認めたため,絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行した。Meckel憩室が存在し,憩室と小腸間膜との間に索状物が形成され,その間隙に小腸が嵌入し絞扼されていた。索状物を切離するとイレウスは解除され,血流も改善したため,小腸は温存しMeckel憩室のみ切除した。病理組織学的検査で索状物には動静脈と神経が認められ,mesodiverticular vascular bandと診断した。Meckel憩室のmesodivertic...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 3; pp. 535 - 539
Main Authors 渡邊, 昌彦, 小嶌, 慶太, 塩味, 慶子, 中村, 隆俊, 佐藤, 武郎, 内藤, 正規, 筒井, 敦子, 山梨, 高広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2019
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.535

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Summary:症例は19歳男性。突然の下腹部痛と下痢・嘔吐を主訴に,前医を受診,イレウスの診断で当院へ紹介となった。下腹部に腹膜刺激症状を認め,腹部造影CT検査でclosed loopと腹水を認めたため,絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行した。Meckel憩室が存在し,憩室と小腸間膜との間に索状物が形成され,その間隙に小腸が嵌入し絞扼されていた。索状物を切離するとイレウスは解除され,血流も改善したため,小腸は温存しMeckel憩室のみ切除した。病理組織学的検査で索状物には動静脈と神経が認められ,mesodiverticular vascular bandと診断した。Meckel憩室のmesodiverticular vascular bandによる絞扼性イレウスは珍しく,原因不明の腸閉塞の鑑別疾患として考慮すべき疾患である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.535