パーキンソン病におけるL-dopaの吸収・代謝異常

パーキンソン病早期診断の指標を求めて, L-dopaの吸収試験を施行した. 発症早期のパーキンソン病患者8例, ならびに年齢を一致させた健常成人7例を対象とした. 早朝空腹時にL-dopa 500mgを経口負荷し, 経時的に血中L-dopa, およびその代謝物である3-O-methyldopa, dopamine, dihydroxyphenylacetic acid, 3-methoxytyramine, homovanillic acid (HVA) を測定した. パーキンソン病患者においては, 対照に比し, L-dopaの初期ピーク濃度ならびに8時間までのarea under the c...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in順天堂医学 Vol. 42; no. 2; pp. 225 - 232
Main Authors 近藤, 智善, 羽鳥, 浩三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 1996
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.42.225

Cover

More Information
Summary:パーキンソン病早期診断の指標を求めて, L-dopaの吸収試験を施行した. 発症早期のパーキンソン病患者8例, ならびに年齢を一致させた健常成人7例を対象とした. 早朝空腹時にL-dopa 500mgを経口負荷し, 経時的に血中L-dopa, およびその代謝物である3-O-methyldopa, dopamine, dihydroxyphenylacetic acid, 3-methoxytyramine, homovanillic acid (HVA) を測定した. パーキンソン病患者においては, 対照に比し, L-dopaの初期ピーク濃度ならびに8時間までのarea under the curve (AUC) が有意に増大していた. また, 3-O-methyldopaのピーク濃度・AUCも有意に増大していた. 一方, dopamineからHVAへの代謝に関しては両群間に有意差は認められなかった. また同時に施行したアセトアミノフェンによる胃通過時間には, 両者の問で有意差は認められなかった. このことはパーキンソン病におけるL-dopaの血中ピーク増大は, L-dopaの代謝の遅れによるのではなく, 消化管からの吸収の相違によることを示唆する. 3-O-methyldopaの増大と共に, パーキンソン病においては, L-dopaの吸収・代謝に対照と比べて質的な差があることを示唆し, これがパーキンソン病早期診断の指標となる可能性があり, 更に検討予定である.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.42.225