真性腸石を伴ったMeckel憩室によるイレウスの1例

患者は47歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に来院した.腹部単純CTで右下腹部の小腸内に直径1.5cmの石灰化陰影と小腸の拡張および液体貯留を認めた.イレウスと診断,イレウス管を挿入し入院となった.イレウス管挿入4日目に腹腔鏡補助下に手術を行った.回腸終末から40cm口側の腸間膜対側に根部に輪状の狭窄を伴う母指大のMeckel憩室を認めた.憩室の先端が盲腸と癒着してループを形成,回腸が陥入し内ヘルニアとなっていた.輪状狭窄を含めて憩室を根部で切除しイレウスを解除した.腸管切除は行わなかった.憩室の内腔に直径1.5cmの結石を認めた.結石分析では99%シュウ酸カルシウムであったため真性腸石と診断した.憩...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 597 - 602
Main Authors 堀, 高明, 濱野, 玄弥, 竹村, 雅至, 池辺, 孝, 眞弓, 勝志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.597

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Summary:患者は47歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に来院した.腹部単純CTで右下腹部の小腸内に直径1.5cmの石灰化陰影と小腸の拡張および液体貯留を認めた.イレウスと診断,イレウス管を挿入し入院となった.イレウス管挿入4日目に腹腔鏡補助下に手術を行った.回腸終末から40cm口側の腸間膜対側に根部に輪状の狭窄を伴う母指大のMeckel憩室を認めた.憩室の先端が盲腸と癒着してループを形成,回腸が陥入し内ヘルニアとなっていた.輪状狭窄を含めて憩室を根部で切除しイレウスを解除した.腸管切除は行わなかった.憩室の内腔に直径1.5cmの結石を認めた.結石分析では99%シュウ酸カルシウムであったため真性腸石と診断した.憩室は病理検査上,真性憩室で異所性粘膜は認めなかった.Meckel憩室に真性腸石を伴うことはまれで,自験例では憩室根部の狭窄により憩室内に腸液の鬱滞が生じ,結石形成の原因となったものと推測された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.597