胸部打撲を契機に発症した結節性紅斑を伴う肉芽腫性乳腺炎の1例

症例は37歳,女性.2週間前に幼児と遊んでいて,左胸部を打撲した.左乳房全体の腫脹・発赤・硬結を認め,両下腿および手掌の有痛性紅斑が出現したため当院紹介となった.CTやMRIで左乳腺全体の早期から持続する造影効果を認めたが,腫瘤像は認めなかった.急性乳腺炎および結節性紅斑の診断で,抗生剤とプレドニゾロン投与を開始し,速やかに解熱し有痛性紅斑は軽快した.しかし,治療終了翌々日に再度発熱を認め,プレドニゾロンを再開した.地図状に形成された乳房内膿瘍に対しドレナージを行った.吸引式組織生検でリンパ球の高度浸潤および多核巨細胞を有する類上皮細胞性肉芽腫の形成を認め,肉芽腫性乳腺炎と診断した.プレドニゾ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 2; pp. 260 - 264
Main Authors 鈴村, 潔, 寺崎, 正起, 土屋, 智敬, 岡本, 好史, 添田, 郁美, 山東, 雅紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.260

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Summary:症例は37歳,女性.2週間前に幼児と遊んでいて,左胸部を打撲した.左乳房全体の腫脹・発赤・硬結を認め,両下腿および手掌の有痛性紅斑が出現したため当院紹介となった.CTやMRIで左乳腺全体の早期から持続する造影効果を認めたが,腫瘤像は認めなかった.急性乳腺炎および結節性紅斑の診断で,抗生剤とプレドニゾロン投与を開始し,速やかに解熱し有痛性紅斑は軽快した.しかし,治療終了翌々日に再度発熱を認め,プレドニゾロンを再開した.地図状に形成された乳房内膿瘍に対しドレナージを行った.吸引式組織生検でリンパ球の高度浸潤および多核巨細胞を有する類上皮細胞性肉芽腫の形成を認め,肉芽腫性乳腺炎と診断した.プレドニゾロン漸減中止後も切開排膿を要したが,再燃を認めず7カ月経過している.胸部打撲が契機となった結節性紅斑を伴う肉芽腫性乳腺炎の本邦報告例はなく,若干の文献的考察を含め報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.260