抗菌薬耐性グラム陰性菌の生き残り戦略と感染症治療薬の開発

新たな抗菌薬が臨床で応用されると,必ずそれに対する耐性菌が出現してきた.しかし,耐性因子を保有する菌株は,感性菌と比較すると発育速度が遅いなどの生存に不利益な点がある.そのため耐性菌は医療施設などの特殊な環境のみで生存できるとされている.しかし,近年,市中感染の原因となる耐性グラム陰性菌が出現している.本稿では,耐性グラム陰性菌がどのようにして発育速度の不利を克服し,市中に拡散したかについて概説する.さらに,感染症治療薬開発の現状と今後の展望について私見を交えて議論する....

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 34; no. 6; pp. 282 - 286
Main Author 石井, 良和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.11.2019
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Summary:新たな抗菌薬が臨床で応用されると,必ずそれに対する耐性菌が出現してきた.しかし,耐性因子を保有する菌株は,感性菌と比較すると発育速度が遅いなどの生存に不利益な点がある.そのため耐性菌は医療施設などの特殊な環境のみで生存できるとされている.しかし,近年,市中感染の原因となる耐性グラム陰性菌が出現している.本稿では,耐性グラム陰性菌がどのようにして発育速度の不利を克服し,市中に拡散したかについて概説する.さらに,感染症治療薬開発の現状と今後の展望について私見を交えて議論する.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.34.282