下部胆管癌に対する亜全胃温存膵頭十二指腸切除後残膵癌の1例

胆管癌に対する亜全胃温存膵頭十二指腸切除術後4年8カ月目に診断された残膵癌に対して膵体部温存膵尾部切除を施行した1例を報告する.症例は75歳の男性で,下部胆管癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し,高分化管状腺癌Stage IIであった.術後4年8カ月目にCA19-9上昇を認め,CTで残膵尾部に2cm大の造影効果の乏しい不整形腫瘤を認めた.主膵管は拡張しており,膵空腸吻合部近傍の主膵管内には膵石と思われる粒状影を認めた.残膵癌および膵石による慢性膵炎と診断し,膵体部を温存した膵尾部切除,脾臓摘出術およびリンパ節郭清を施行した.胃空腸吻合の肛門側で空腸を切離して拳上し,繰り返す膵炎に対する...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 2; pp. 349 - 353
Main Authors 森岡, 淳, 堀, 明洋, 高木, 健裕, 駒屋, 憲一, 小林, 聡, 神野, 孝徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.349

Cover

More Information
Summary:胆管癌に対する亜全胃温存膵頭十二指腸切除術後4年8カ月目に診断された残膵癌に対して膵体部温存膵尾部切除を施行した1例を報告する.症例は75歳の男性で,下部胆管癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し,高分化管状腺癌Stage IIであった.術後4年8カ月目にCA19-9上昇を認め,CTで残膵尾部に2cm大の造影効果の乏しい不整形腫瘤を認めた.主膵管は拡張しており,膵空腸吻合部近傍の主膵管内には膵石と思われる粒状影を認めた.残膵癌および膵石による慢性膵炎と診断し,膵体部を温存した膵尾部切除,脾臓摘出術およびリンパ節郭清を施行した.胃空腸吻合の肛門側で空腸を切離して拳上し,繰り返す膵炎に対する膵管のドレナージとして尾側膵断端に対し空腸吻合を施行した.組織学的には管状腺癌Stage I Bであった.術後はインシュリンを使用せず血糖は安定している.胆管癌切除後の異時性残膵癌は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.349