抗生剤が奏功するも生体弁破壊が進行した化膿性脊椎炎合併感染性心内膜炎に対する大動脈弁再置換術の1例

感染性心内膜炎と,化膿性脊椎炎の合併は比較的稀である.症例は80歳男性.68歳時に大動脈弁閉鎖不全に対し,生体弁(Hancock II)を用いた大動脈弁置換術の既往あり.腰背部痛が出現し,当院に緊急搬送された.化膿性脊椎炎が考慮され,早期に抗生剤投与を開始したが,感染性心内膜炎の合併が判明した.抗生剤は奏功したが,その後,人工弁機能不全出現のため,大動脈弁再置換術を要した.大動脈弁置換術後の経過は良好であった.生体弁置換術後の感染性心内膜炎は,弁自体の経年的構造劣化進行の可能性もあり,その弁機能不全は血液検査所見のみではその進行度は反映されない.特に長期間の抗生剤投与を必要とする化膿性脊椎炎合...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 87 - 91
Main Authors 甲斐沼, 孟, 須原, 均, 木戸, 高志, 高橋, 俊樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2015
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.44.87

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Summary:感染性心内膜炎と,化膿性脊椎炎の合併は比較的稀である.症例は80歳男性.68歳時に大動脈弁閉鎖不全に対し,生体弁(Hancock II)を用いた大動脈弁置換術の既往あり.腰背部痛が出現し,当院に緊急搬送された.化膿性脊椎炎が考慮され,早期に抗生剤投与を開始したが,感染性心内膜炎の合併が判明した.抗生剤は奏功したが,その後,人工弁機能不全出現のため,大動脈弁再置換術を要した.大動脈弁置換術後の経過は良好であった.生体弁置換術後の感染性心内膜炎は,弁自体の経年的構造劣化進行の可能性もあり,その弁機能不全は血液検査所見のみではその進行度は反映されない.特に長期間の抗生剤投与を必要とする化膿性脊椎炎合併例では,より術前術後の注意深いフォローが必要であると思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.44.87