成人女性に発症した茎捻転を伴った遊走脾の1例

非常にまれな,出産を契機に発症した茎捻転を伴う遊走脾の1例を経験したので報告する.症例は32歳女性.第一子を出産後,約6カ月後に強い下腹部痛を自覚し当院受診となった.深夜の緊急外来のため正確な術前診断へ至らなかったが,急性腹症の診断で緊急開腹術を行った.骨盤内に大きく腫大した脾臓を確認し,遊走脾茎捻転の診断で脾摘出術を行った.術後経過は良好で第9病日で退院となった.本症は,無症状で経過することもあるが,茎捻転を起こすと急性腹症として緊急開腹術を行われることがある.治療は茎捻転によって血流障害を伴えば脾摘出術が行われるが,脾機能が温存されている場合は固定術が推奨される....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 967 - 970
Main Authors 田中, 亮介, 永川, 祐二, 前川, 隆文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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Summary:非常にまれな,出産を契機に発症した茎捻転を伴う遊走脾の1例を経験したので報告する.症例は32歳女性.第一子を出産後,約6カ月後に強い下腹部痛を自覚し当院受診となった.深夜の緊急外来のため正確な術前診断へ至らなかったが,急性腹症の診断で緊急開腹術を行った.骨盤内に大きく腫大した脾臓を確認し,遊走脾茎捻転の診断で脾摘出術を行った.術後経過は良好で第9病日で退院となった.本症は,無症状で経過することもあるが,茎捻転を起こすと急性腹症として緊急開腹術を行われることがある.治療は茎捻転によって血流障害を伴えば脾摘出術が行われるが,脾機能が温存されている場合は固定術が推奨される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.967