発作時に著明な陰性U波が認められた対角枝病変による不安定狭心症の1例

症例は77歳 女性, 不安定狭心症のため入院. 胸痛発作時の心電図で1・aVLにごく軽度のST上昇とV3-V6で著明な陰性U波もしくはU波終末部の陰性化を認めた. ニトログリセリン舌下により症状は改善し陰性U波は消失した. 翌日には1・aVL・V2-V6で一過性の陰性T波を認めたが5日後には消失した. 第11病日に施行した冠動脈造影では対角枝にのみ90%狭窄を認め, 狭心症の責任病変と考えられた. 高齢者であり内科治療を選択したが, 狭心症が再発し同病変に対しPTCAを施行した. 狭心症における陰性U波は従来, 左前下行枝近位部病変例に多く認め, 一般にST変化に伴って出現するが, 本症では急...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in順天堂医学 Vol. 44; no. 2; pp. 200 - 203
Main Authors 代田, 浩之, 桜井, 秀彦, 山口, 洋, 秋元, 芳典, 太田, 洋, 住吉, 正孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 1998
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.44.200

Cover

More Information
Summary:症例は77歳 女性, 不安定狭心症のため入院. 胸痛発作時の心電図で1・aVLにごく軽度のST上昇とV3-V6で著明な陰性U波もしくはU波終末部の陰性化を認めた. ニトログリセリン舌下により症状は改善し陰性U波は消失した. 翌日には1・aVL・V2-V6で一過性の陰性T波を認めたが5日後には消失した. 第11病日に施行した冠動脈造影では対角枝にのみ90%狭窄を認め, 狭心症の責任病変と考えられた. 高齢者であり内科治療を選択したが, 狭心症が再発し同病変に対しPTCAを施行した. 狭心症における陰性U波は従来, 左前下行枝近位部病変例に多く認め, 一般にST変化に伴って出現するが, 本症では急性期のST上昇と陰性U波の出現した誘導が異なり, 心電図からは責任冠動脈病変の部位診断が困難であった.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.44.200