呼吸障害を呈し新生児期に発症した梨状窩瘻の3例 - 自験例を含む本邦報告37例集計の検討

「要旨」新生児期に発症する先天性梨状窩瘻は頸部腫瘤により急激な症状を呈することがある. 今回, 呼吸困難で発症した新生児梨状窩瘻3例の報告に加え本邦報告例の集積結果より考察する. 【症例1】2生日より発熱と呼吸障害を呈し, 4生日に心肺停止状態となり気管内挿管により蘇生された. その際に左頸部腫瘤に気づかれ, 嚢胞穿刺造影で瘻孔を確認, 26生日に摘出術を施行. 【症例2】2生日に左頸部腫瘤による吸気性喘鳴が出現, MRI検査にて気泡・鏡面像を伴う嚢胞を認め気管内挿管を必要とした. 穿刺ドレナージの効果は一時的で, 呼吸困難が持続したため摘出術を施行. 【症例3】出生前より左頸部腫瘤を指摘され...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 5; pp. 1117 - 1123
Main Authors 中目和彦, 山田耕嗣, 山田和歌, 桝屋隆太, 川野孝文, 町頭成郎, 向井基, 加治建, 野口啓幸, 家入里志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.08.2018
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「要旨」新生児期に発症する先天性梨状窩瘻は頸部腫瘤により急激な症状を呈することがある. 今回, 呼吸困難で発症した新生児梨状窩瘻3例の報告に加え本邦報告例の集積結果より考察する. 【症例1】2生日より発熱と呼吸障害を呈し, 4生日に心肺停止状態となり気管内挿管により蘇生された. その際に左頸部腫瘤に気づかれ, 嚢胞穿刺造影で瘻孔を確認, 26生日に摘出術を施行. 【症例2】2生日に左頸部腫瘤による吸気性喘鳴が出現, MRI検査にて気泡・鏡面像を伴う嚢胞を認め気管内挿管を必要とした. 穿刺ドレナージの効果は一時的で, 呼吸困難が持続したため摘出術を施行. 【症例3】出生前より左頸部腫瘤を指摘され, 出生後に呼吸障害と感染症状を認めたため嚢胞の穿刺ドレナージが施行された. 嚢胞造影で瘻孔を認め, 26生日に摘出術を施行. 結語: 呼吸障害を伴う新生児期発症の先天性梨状窩瘻に対しては頸部腫瘤の症状改善に加え早期手術を考慮する必要がある.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.54.5_1117