十二指腸inflammatory fibroid polypの1例

症例は39歳の女性で,2011年7月貧血(Hb 4.9g/dL)と黒色便を認め近医に入院となり,上部消化管出血が疑われ当院に紹介され転院となった.腹部CT,小腸造影検査,小腸内視鏡検査にて十二指腸腫瘍による消化管出血・腸重積と診断した.腹痛や腸閉塞症状はなく,開腹下での待機的手術加療とした.術中上部消化管内視鏡を併用し,十二指腸壁を切開し腫瘍を直視下に確認したところ,腫瘍は70mm大で十二指腸球部に基部をもつ有茎性腫瘍であった.術中迅速病理組織学的検査所見でinflammatory fibroid polyp(以下IFP)と診断し十二指腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査所見では,異型性に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 4; pp. 936 - 941
Main Authors 渡邊, 貴洋, 大端, 考, 佐藤, 真輔, 京田, 有介, 高木, 正和, 伊関, 丈治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:症例は39歳の女性で,2011年7月貧血(Hb 4.9g/dL)と黒色便を認め近医に入院となり,上部消化管出血が疑われ当院に紹介され転院となった.腹部CT,小腸造影検査,小腸内視鏡検査にて十二指腸腫瘍による消化管出血・腸重積と診断した.腹痛や腸閉塞症状はなく,開腹下での待機的手術加療とした.術中上部消化管内視鏡を併用し,十二指腸壁を切開し腫瘍を直視下に確認したところ,腫瘍は70mm大で十二指腸球部に基部をもつ有茎性腫瘍であった.術中迅速病理組織学的検査所見でinflammatory fibroid polyp(以下IFP)と診断し十二指腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査所見では,異型性に乏しい紡錘形細胞の増生巣,慢性炎症像を認め,十二指腸IFPと診断された.比較的まれな十二指腸IFPの1切除例を経験したため,文献的考察を含め報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.936