術前CT検査にて診断し,腹腔鏡下手術を施行した特発性大網捻転症の1例

症例は,34歳の女性。来院前日から右下腹部痛を訴え,虫垂炎の疑いで他院より紹介された。入院時の理学的所見では,体温36.8℃であり,右腹部に圧痛とBlumberg徴候を認めた。血液検査では,CRPが2.84mg/dLと軽度上昇していた。腹部超音波検査で,圧痛のある腹壁直下に不規則なエコー輝度を呈する腫瘤を認めた。また,腹部CT検査で同部に脂肪(大網)のらせん状濃度上昇を認めた。大網捻転症と診断し,腹腔鏡下手術を施行した。捻転した大網が右腹壁と癒着していたため,これを切除した。虫垂には異常を認めなかった。大網捻転症を起こし得る器質的原因を認めなかったことから,特発性大網捻転症と診断した。大網捻転...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 801 - 803
Main Authors 木村, 俊久, 竹内, 一雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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Summary:症例は,34歳の女性。来院前日から右下腹部痛を訴え,虫垂炎の疑いで他院より紹介された。入院時の理学的所見では,体温36.8℃であり,右腹部に圧痛とBlumberg徴候を認めた。血液検査では,CRPが2.84mg/dLと軽度上昇していた。腹部超音波検査で,圧痛のある腹壁直下に不規則なエコー輝度を呈する腫瘤を認めた。また,腹部CT検査で同部に脂肪(大網)のらせん状濃度上昇を認めた。大網捻転症と診断し,腹腔鏡下手術を施行した。捻転した大網が右腹壁と癒着していたため,これを切除した。虫垂には異常を認めなかった。大網捻転症を起こし得る器質的原因を認めなかったことから,特発性大網捻転症と診断した。大網捻転症は術前診断が難しいとされているが,注意深いCT検査画像診断により,その典型像を認めれば診断は比較的容易であり,腹腔鏡による侵襲の少ない手術が可能と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.801