重症心不全を伴ったマルファン症候群に対する部分体外循環補助下胸部下行大動脈置換術および腹部大動脈置換術

重症心不全を合併した大動脈瘤の直達手術においては,大動脈遮断に伴う心負荷への配慮や補助手段の選択などが問題となる.また,巨大で破裂の危険性が高い大動脈瘤と,手術適応となる重症心疾患が併存する場合,いずれの外科治療を優先するか,また適切な左心補助装置の導入や心移植登録のタイミングという問題も生じる.今回,極度の重症左室機能不全および高度僧帽弁閉鎖不全を伴い,かつ慢性大動脈解離による著明な胸部下行大動脈拡大を伴ったマルファン症候群に対し,循環虚脱を回避すべく麻酔導入前から局所麻酔下に部分体外循環を確立し,左開胸下に胸部下行大動脈人工血管置換術を施行.その後,急速に拡大した腹部大動脈瘤に対しても同様...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 47; no. 2; pp. 71 - 77
Main Authors 西部, 俊哉, 岩堀, 晃也, 高橋, 聡, 松山, 克彦, 室町, 幸生, 杉山, 佳代, 小泉, 信達, 丸野, 恵大, 荻野, 均, 岩橋, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.47.71

Cover

More Information
Summary:重症心不全を合併した大動脈瘤の直達手術においては,大動脈遮断に伴う心負荷への配慮や補助手段の選択などが問題となる.また,巨大で破裂の危険性が高い大動脈瘤と,手術適応となる重症心疾患が併存する場合,いずれの外科治療を優先するか,また適切な左心補助装置の導入や心移植登録のタイミングという問題も生じる.今回,極度の重症左室機能不全および高度僧帽弁閉鎖不全を伴い,かつ慢性大動脈解離による著明な胸部下行大動脈拡大を伴ったマルファン症候群に対し,循環虚脱を回避すべく麻酔導入前から局所麻酔下に部分体外循環を確立し,左開胸下に胸部下行大動脈人工血管置換術を施行.その後,急速に拡大した腹部大動脈瘤に対しても同様に,部分体外循環補助下に腹部大動脈人工血管置換術を施行した1例を経験したので報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.47.71