腸結核治療中に回盲部狭窄をきたし腹腔鏡下に切除した1例

40歳,女性.検診で便潜血陽性および貧血を指摘され,大腸内視鏡検査を施行.上行結腸に潰瘍を認めた.組織の結核菌培養検査で結核菌が認められたため,腸結核と診断.抗結核薬による治療を開始した.内服治療中,右側腹部痛を主訴に外来を受診.腹部CT検査にて拡張,壁肥厚を伴う上行結腸を認めた.病変部の瘢痕収縮による狭窄が原因と考えた.CT所見,理学所見から剥離受動可能と考え腹腔鏡下右半結腸切除術施行した.病理結果では潰瘍瘢痕による線維性肉芽組織の増生が認められるものの肉芽腫性病変は認められなかった.総合判断では腸結核性潰瘍の瘢痕収縮であると考えた.退院後は当科外来に通院中であるが抗結核薬は投与せず経過観察...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 2; pp. 385 - 389
Main Authors 山口, 拓也, 平林, 邦昭, 戸口, 景介, 外山, 和隆, 吉村, 昌記, 吉川, 健治, 木野, 茂生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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Summary:40歳,女性.検診で便潜血陽性および貧血を指摘され,大腸内視鏡検査を施行.上行結腸に潰瘍を認めた.組織の結核菌培養検査で結核菌が認められたため,腸結核と診断.抗結核薬による治療を開始した.内服治療中,右側腹部痛を主訴に外来を受診.腹部CT検査にて拡張,壁肥厚を伴う上行結腸を認めた.病変部の瘢痕収縮による狭窄が原因と考えた.CT所見,理学所見から剥離受動可能と考え腹腔鏡下右半結腸切除術施行した.病理結果では潰瘍瘢痕による線維性肉芽組織の増生が認められるものの肉芽腫性病変は認められなかった.総合判断では腸結核性潰瘍の瘢痕収縮であると考えた.退院後は当科外来に通院中であるが抗結核薬は投与せず経過観察中である.腸結核に対し抗結核薬治療を行った場合,腸管狭窄を生じ,その結果イレウスとなることがある.そうした腸結核の腫瘤および狭窄に対して腹腔鏡下手術は可能であることが示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.385