胆嚢管原発内分泌細胞癌の1例

胆道の内分泌細胞癌の発生頻度は低く,特に胆嚢管原発の報告は自験例が4例目であり非常にまれである.症例は58歳の女性で,中部胆管に3cm大の境界明瞭で表面が平滑なポリープ状の隆起性病変を認めたため,胆管癌を疑い胆管切除術およびD2リンパ節郭清術を施行した.腫瘍は黄色調で表面平滑な有茎性ポリープ状の形態を呈し胆嚢管から発生していた.総胆管内に脱出していたために画像検査では胆管腫瘍のように観察されたものと考えられた.N/C比が高くクロマチンに富んだ小型円形の腫瘍細胞が胞巣状に増殖しており,クロモグラニンA,シナプトフィジンが陽性であった.核分裂像が多く,Ki-67陽性率が50%であり内分泌細胞癌と診...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 780 - 784
Main Authors 石井, 龍宏, 藤澤, 憲司, 井口, 利仁, 松野, 剛, 宮本, 章仁, 佐伯, 隆人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.780

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Summary:胆道の内分泌細胞癌の発生頻度は低く,特に胆嚢管原発の報告は自験例が4例目であり非常にまれである.症例は58歳の女性で,中部胆管に3cm大の境界明瞭で表面が平滑なポリープ状の隆起性病変を認めたため,胆管癌を疑い胆管切除術およびD2リンパ節郭清術を施行した.腫瘍は黄色調で表面平滑な有茎性ポリープ状の形態を呈し胆嚢管から発生していた.総胆管内に脱出していたために画像検査では胆管腫瘍のように観察されたものと考えられた.N/C比が高くクロマチンに富んだ小型円形の腫瘍細胞が胞巣状に増殖しており,クロモグラニンA,シナプトフィジンが陽性であった.核分裂像が多く,Ki-67陽性率が50%であり内分泌細胞癌と診断した.胆道原発の内分泌細胞癌は早期に血行性転移,特に肝転移をきたし予後不良であるが,定まった化学療法がなく奏効例もまれである.術後補助化学療法としてIP療法を行い19カ月間再発なく経過している.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.780