胆嚢体部に潰瘍を認めた無石性慢性胆嚢炎の1例
症例は46歳の女性で,1カ月続く食後の心窩部痛を主訴に来院した.腹部造影CT検査で胆嚢壁の浮腫性肥厚像と潰瘍状陥凹を認め,胆嚢潰瘍および慢性胆嚢炎と診断し,手術加療目的で入院した.血液生化学検査では炎症反応および肝胆道系酵素の上昇は認めなかった.手術は開腹胆嚢摘出術を施行した.手術所見では胆嚢漿膜の一部が発赤・硬結し,同部位を中心にやや広範な壁肥厚を認めた.胆嚢周囲の癒着はなく,損傷せず胆嚢を摘出した.切除標本の肉眼所見では胆嚢粘膜に10×6mm大の潰瘍を認め,潰瘍部分には凝血塊が付着していた.病理組織学的所見では潰瘍部分を中心に粘膜上皮の出血・潰瘍を認めた.炎症細胞浸潤と高度線維化を認め,慢...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 1; pp. 128 - 132 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2019
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.80.128 |
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Summary: | 症例は46歳の女性で,1カ月続く食後の心窩部痛を主訴に来院した.腹部造影CT検査で胆嚢壁の浮腫性肥厚像と潰瘍状陥凹を認め,胆嚢潰瘍および慢性胆嚢炎と診断し,手術加療目的で入院した.血液生化学検査では炎症反応および肝胆道系酵素の上昇は認めなかった.手術は開腹胆嚢摘出術を施行した.手術所見では胆嚢漿膜の一部が発赤・硬結し,同部位を中心にやや広範な壁肥厚を認めた.胆嚢周囲の癒着はなく,損傷せず胆嚢を摘出した.切除標本の肉眼所見では胆嚢粘膜に10×6mm大の潰瘍を認め,潰瘍部分には凝血塊が付着していた.病理組織学的所見では潰瘍部分を中心に粘膜上皮の出血・潰瘍を認めた.炎症細胞浸潤と高度線維化を認め,慢性胆嚢炎と診断した.胆嚢粘膜の潰瘍形成は臨床学的に胆嚢炎の一病型として捉えられているためか,文献的報告が非常に少ない.今回,胆嚢体部に潰瘍を呈した無石性胆嚢炎の1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.80.128 |