EVAR術後1年で後腹膜肥厚が改善した炎症性腹部大動脈瘤の1例

症例は70歳,男性.持続する腹痛のため施行したCTで腹部大動脈瘤を指摘され,切迫破裂疑いにて当院紹介となった.CTでは最大短径60mmの腎動脈下腹部大動脈瘤を認め,瘤周囲の後腹膜は肥厚し造影効果(mantle sign)を認めた.血液検査でCRP上昇を認めたが,プロカルシトニンは陰性,IgG4の上昇はみられなかった.また,血液培養は陰性であり炎症性腹部大動脈瘤の診断でステントグラフト内挿術(EVAR:endovascular aortic repair)を施行した.術後経過は良好で第6病日に退院となった.水腎症等を認めなかったためステロイドは投与せず経過観察の方針とした.炎症反応は術後6カ月目...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 5; pp. 854 - 858
Main Authors 田中, 克典, 塚本, 旬, 飯島, 夏海, 西田, 浩介, 志水, 正史, 田口, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:症例は70歳,男性.持続する腹痛のため施行したCTで腹部大動脈瘤を指摘され,切迫破裂疑いにて当院紹介となった.CTでは最大短径60mmの腎動脈下腹部大動脈瘤を認め,瘤周囲の後腹膜は肥厚し造影効果(mantle sign)を認めた.血液検査でCRP上昇を認めたが,プロカルシトニンは陰性,IgG4の上昇はみられなかった.また,血液培養は陰性であり炎症性腹部大動脈瘤の診断でステントグラフト内挿術(EVAR:endovascular aortic repair)を施行した.術後経過は良好で第6病日に退院となった.水腎症等を認めなかったためステロイドは投与せず経過観察の方針とした.炎症反応は術後6カ月目に0.4mg/dlまで低下したが,瘤径や後腹膜の肥厚は変化を認めなかった.その後もステロイド投与することなく経過観察を続けていたところ,術後1年目にようやく後腹膜の壁肥厚が縮小した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.854