両側開胸にて切除した食道神経鞘腫の1例
症例は63歳,女性.検診の胸部X線写真撮影で異常陰影を指摘され,食道腫瘍の診断で当科へ紹介となった.上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道に粘膜下腫瘍を認め,ボーリング生検にて神経原性腫瘍疑いの診断となった.CTにて最大径7cmの乏血性腫瘤を認め,左肺門部,大動脈を広く圧排し,浸潤も否定できない所見であった.悪性も否定できないため,切除を行うこととした.右開胸からのアプローチは術野の確保が困難と考えられたため,まず左開胸を先行し,左肺門部,大動脈から剥離可能であることを確認した.続いて右開胸を行い,食道亜全摘を施行した.術後経過良好であり,術後12日目に退院した.病理組織診より食道神経鞘腫との確定...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 2; pp. 248 - 253 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
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Subjects | |
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Summary: | 症例は63歳,女性.検診の胸部X線写真撮影で異常陰影を指摘され,食道腫瘍の診断で当科へ紹介となった.上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道に粘膜下腫瘍を認め,ボーリング生検にて神経原性腫瘍疑いの診断となった.CTにて最大径7cmの乏血性腫瘤を認め,左肺門部,大動脈を広く圧排し,浸潤も否定できない所見であった.悪性も否定できないため,切除を行うこととした.右開胸からのアプローチは術野の確保が困難と考えられたため,まず左開胸を先行し,左肺門部,大動脈から剥離可能であることを確認した.続いて右開胸を行い,食道亜全摘を施行した.術後経過良好であり,術後12日目に退院した.病理組織診より食道神経鞘腫との確定診断となった.両側開胸にて食道神経鞘腫を切除しえた症例報告はなく,文献的考察とともに報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.248 |