大腸癌に準じた化学療法が有効であった回腸ストーマ癌肝肺転移の1例

回腸ストーマに癌が発生することは稀であり,その肝肺転移に対する化学療法の報告は見当たらない.われわれは大腸全摘後の回腸ストーマに発症したストーマ癌を切除し,術後に認めた肝肺転移に対し化学療法を施行した.症例は50歳台の男性.27歳時に大腸腺腫症,大腸癌の診断で結腸全摘が施行された.35歳時に残存直腸癌に対し直腸切断術,回腸ストーマ造設術が施行された.平成21年に回腸ストーマ癌と診断され,ストーマ切除・ストーマ再造設術が施行された.術後2カ月目に肝,肺への転移が認められた.原発巣の免疫染色において腸型の腺癌と判定されたことを参考に,大腸癌に準じた化学療法を施行したところ,病変が消失し一旦はCRと...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 2; pp. 308 - 312
Main Authors 袴田, 健一, 諸橋, 一, 小山, 基, 村田, 暁彦, 坂本, 義之, 島田, 拓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.308

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Summary:回腸ストーマに癌が発生することは稀であり,その肝肺転移に対する化学療法の報告は見当たらない.われわれは大腸全摘後の回腸ストーマに発症したストーマ癌を切除し,術後に認めた肝肺転移に対し化学療法を施行した.症例は50歳台の男性.27歳時に大腸腺腫症,大腸癌の診断で結腸全摘が施行された.35歳時に残存直腸癌に対し直腸切断術,回腸ストーマ造設術が施行された.平成21年に回腸ストーマ癌と診断され,ストーマ切除・ストーマ再造設術が施行された.術後2カ月目に肝,肺への転移が認められた.原発巣の免疫染色において腸型の腺癌と判定されたことを参考に,大腸癌に準じた化学療法を施行したところ,病変が消失し一旦はCRと判断された.小腸癌に対する化学療法には一定のコンセンサスが得られていない現状があるが,粘液の産生パターンを参考に大腸癌に準じた化学療法を選択し,一定の効果が得られた症例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.308