腸切除を伴う鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓治療におけるメッシュ挿入の検討

鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓において,腸切除が必要となった症例に対してメッシュを用いない修復法(従来法)や二期的なメッシュ挿入を選択することが一般的だが,最近では腸切除例にもメッシュを使用した報告例が散見される.当院における腸切除を伴う鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓治療におけるメッシュ挿入の是非について後方視的に検討した.最近11年間(2004年1月1日~2014年12月31日)に,55例の鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓手術を行った.そのうち腸切除例は20例であった.腸切除が必要な症例においても,非腸管穿孔例,術中腸液の暴露がなかった7例では,創縁保護を行いメッシュを用いた治療法を選択した.腸管を切除し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 746 - 750
Main Authors 高橋, 遼, 蟹江, 恭和, 太平, 周作, 岡田, 禎人, 林, 英司, 石田, 陽祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.746

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Summary:鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓において,腸切除が必要となった症例に対してメッシュを用いない修復法(従来法)や二期的なメッシュ挿入を選択することが一般的だが,最近では腸切除例にもメッシュを使用した報告例が散見される.当院における腸切除を伴う鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓治療におけるメッシュ挿入の是非について後方視的に検討した.最近11年間(2004年1月1日~2014年12月31日)に,55例の鼠径部・閉鎖孔ヘルニア嵌頓手術を行った.そのうち腸切除例は20例であった.腸切除が必要な症例においても,非腸管穿孔例,術中腸液の暴露がなかった7例では,創縁保護を行いメッシュを用いた治療法を選択した.腸管を切除し,メッシュ挿入した7例のいずれもメッシュに関わる術後合併症は起こらなかった.汚染が少なく感染のリスクが低いと考えられた症例では,メッシュを使用したヘルニア治療は選択肢の一つとなりうると考えた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.746