腹部大動脈瘤破裂によるAbdominal Compartment Syndrome対策
要旨:破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の手術成績はいまだに満足できるものではなく,その一つの大きな理由がabdominal compartment syndrome(ACS)により助長される多臓器不全(MOF)の発症である。しかし,最近の報告ではACSに対するopen managementの結果が報告されるようになって治療成績が向上し,Mortalityが10~20%前後の報告も散見される。破裂性腹部大動脈瘤でのACSの病態は大量の血液が後腹膜腔や腹腔内を占拠することで腹部内圧(IAP)が上昇し,ショックを伴い,臓器ならびに全身の組織は虚血に陥る。大量の輸液と輸血に加え,虚血・再灌流障害で,浮腫...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 5; pp. 865 - 870 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2013
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.33.865 |
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Summary: | 要旨:破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の手術成績はいまだに満足できるものではなく,その一つの大きな理由がabdominal compartment syndrome(ACS)により助長される多臓器不全(MOF)の発症である。しかし,最近の報告ではACSに対するopen managementの結果が報告されるようになって治療成績が向上し,Mortalityが10~20%前後の報告も散見される。破裂性腹部大動脈瘤でのACSの病態は大量の血液が後腹膜腔や腹腔内を占拠することで腹部内圧(IAP)が上昇し,ショックを伴い,臓器ならびに全身の組織は虚血に陥る。大量の輸液と輸血に加え,虚血・再灌流障害で,浮腫が増強される。このACSを予防,対策について1990年代後半から推奨されるようになったopen managementを中心に解説するが,IAP 20mmHg以上では二期的閉腹が推奨される。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.33.865 |