乳癌を契機に診断されたLi-Fraumeni症候群の1例

Li-Fraumeni症候群(LFS)は,TP53 遺伝子の生殖細胞系列における病的バリアントにより乳癌,軟部組織肉腫,骨肉腫,脳腫瘍,白血病,肺癌,副腎皮質癌,消化器癌等種々の悪性腫瘍を発症する常染色体優性遺伝形式の遺伝性疾患であり,Chompretの診断基準が用いられる.放射線による二次発癌の恐れがあるため,治療法の選択や術後フォローを含むサーベイランスには注意が必要である.症例は27歳の女性.18歳時に右脛骨傍骨性骨肉腫,27歳時に左上顎軟骨肉腫に罹患.術後3カ月フォローCTで右乳房外側に造影結節を認め,針生検で非浸潤性乳管癌(DCIS)と診断した.Chompret基準を満たすため,LF...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 3; pp. 405 - 411
Main Authors 山田, 顕光, 梅田, 茂明, 山本, 晋也, 浜之上, はるか, 柴田, 侑華子, 遠藤, 格, 菅江, 貞亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.405

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Summary:Li-Fraumeni症候群(LFS)は,TP53 遺伝子の生殖細胞系列における病的バリアントにより乳癌,軟部組織肉腫,骨肉腫,脳腫瘍,白血病,肺癌,副腎皮質癌,消化器癌等種々の悪性腫瘍を発症する常染色体優性遺伝形式の遺伝性疾患であり,Chompretの診断基準が用いられる.放射線による二次発癌の恐れがあるため,治療法の選択や術後フォローを含むサーベイランスには注意が必要である.症例は27歳の女性.18歳時に右脛骨傍骨性骨肉腫,27歳時に左上顎軟骨肉腫に罹患.術後3カ月フォローCTで右乳房外側に造影結節を認め,針生検で非浸潤性乳管癌(DCIS)と診断した.Chompret基準を満たすため,LFSを疑い遺伝学的検査を提案したが希望はなく,術前に確定診断には至らなかったもののLFSに準じて治療方針を決定した.右乳輪乳頭温存乳房切除術とセンチネルリンパ節生検,組織拡張器挿入術を施行した.術後1年半で遺伝学的検査に同意し,(NM000546.5(TP53):c.476C>A:p.Ala159Asp,de novo)を同定した.現在,毎年の胸部MRIでフォローしている.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.405