胆囊癌を合併した胆囊軸捻転症の1例

症例は80歳,女性。腹痛を主訴に来院した。右下腹部に手拳大の可動性のある腫瘍性病変と同部位の圧痛を認めた。血液検査結果では炎症反応の上昇を認め,腹部超音波,CT検査では胆囊の腫大を認め,胆囊頸部と胆囊管の連続性がみられなかった。また,胆囊内部に隆起性腫瘍を認め,胆囊軸捻転症と胆囊腫瘍の術前診断で同日,緊急手術を行った。術中所見では,胆囊は頸部を軸に時計回りに約270度捻転していた。捻転を愛護的に解除し開腹胆囊摘出術を施行した。切除標本の肉眼所見では,胆囊粘膜は虚血に伴う壊死性変化を認めた。また,30mm大の乳頭状に発育する腫瘍性病変も認め病理組織学的検査結果は胆囊癌(p-Stage Ⅰ)であっ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 845 - 848
Main Authors 梶, 理史, 齋藤, 元伸, 原田, 信比古, 小池, 伸定, 森下, 慶一, 尾崎, 雄飛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2018
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.845

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Summary:症例は80歳,女性。腹痛を主訴に来院した。右下腹部に手拳大の可動性のある腫瘍性病変と同部位の圧痛を認めた。血液検査結果では炎症反応の上昇を認め,腹部超音波,CT検査では胆囊の腫大を認め,胆囊頸部と胆囊管の連続性がみられなかった。また,胆囊内部に隆起性腫瘍を認め,胆囊軸捻転症と胆囊腫瘍の術前診断で同日,緊急手術を行った。術中所見では,胆囊は頸部を軸に時計回りに約270度捻転していた。捻転を愛護的に解除し開腹胆囊摘出術を施行した。切除標本の肉眼所見では,胆囊粘膜は虚血に伴う壊死性変化を認めた。また,30mm大の乳頭状に発育する腫瘍性病変も認め病理組織学的検査結果は胆囊癌(p-Stage Ⅰ)であった。今回,われわれは胆囊癌を合併した胆囊軸捻転症の1例を経験した。胆囊癌の合併を疑う胆囊軸捻転症では,胆囊壊死や穿孔による胆汁性,癌性腹膜炎の合併の可能性を念頭に置いて診断と治療を行う必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.845