経会陰アプローチで切除した下部直腸GISTの1例

症例は56歳,男性.会陰部違和感を主訴に近医を受診し,肛門腫瘤を指摘され当院紹介となった.生検でgastrointestinal stromal tumor(以下 GIST)と診断された.画像検査では,直腸(Rb-P)前壁から壁外に突出し尿管を腹側へ圧排する約6cm大の腫瘤性病変を認めた.腫瘍縮小を期待して半年間のメチル酸イマチニブ投与後に根治術を行うこととした.術式は腫瘍が会陰部に近く,腫瘍の輪郭を会陰部皮膚から触知可能であり,経腹的アプローチでなく経会陰的腫瘍切除術を選択した.術後は合併症なく経過し,術後第13病日で退院した.経会陰的アプローチは,腸管切除吻合を要する他の術式と比較し低侵襲...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 2; pp. 379 - 385
Main Authors 水谷, 千佳, 松橋, 延壽, 高橋, 孝夫, 高野, 仁, 山口, 和也, 吉田, 和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:症例は56歳,男性.会陰部違和感を主訴に近医を受診し,肛門腫瘤を指摘され当院紹介となった.生検でgastrointestinal stromal tumor(以下 GIST)と診断された.画像検査では,直腸(Rb-P)前壁から壁外に突出し尿管を腹側へ圧排する約6cm大の腫瘤性病変を認めた.腫瘍縮小を期待して半年間のメチル酸イマチニブ投与後に根治術を行うこととした.術式は腫瘍が会陰部に近く,腫瘍の輪郭を会陰部皮膚から触知可能であり,経腹的アプローチでなく経会陰的腫瘍切除術を選択した.術後は合併症なく経過し,術後第13病日で退院した.経会陰的アプローチは,腸管切除吻合を要する他の術式と比較し低侵襲である一方,前立腺および尿道損傷や性機能障害のリスクが挙げられる.経会陰的に直腸GISTを切除した症例は報告が少ないが,腫瘍が低位直腸に局在する症例には良い適応であり,今後多くの症例集積が期待される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.379