造血幹細胞移植後の口内炎および咽頭食道炎による疼痛に対するフェンタニル持続静注

【目的】造血幹細胞移植(以下, HSCT)後の口内炎・咽頭食道炎による疼痛に対するフェンタニル持続静注の有用性を検討した. 【方法】粘膜障害による疼痛が出現したHSCT患者15例を対象に, フェンタニル持続静注を12.5 μg/時より開始, 適宜増減して疼痛コントロールを行った. フェンタニル開始時と最大投与時の口腔粘膜障害grade, 疼痛スケール, 含嗽回数や歯磨き回数などのQOL指標を比較した. 【結果】フェンタニル開始の移植後病日は中央値で第7病日, 投与期間中央値は12日間だった. 最大投与量中央値は980 (243.8~3,010)μg/日でフェンタニル開始後中央値は5日目だった....

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Published inPalliative Care Research Vol. 6; no. 2; pp. 246 - 252
Main Authors 上村, 智彦, 鄭, 湧, 伊藤, 能清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2011
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.6.246

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Summary:【目的】造血幹細胞移植(以下, HSCT)後の口内炎・咽頭食道炎による疼痛に対するフェンタニル持続静注の有用性を検討した. 【方法】粘膜障害による疼痛が出現したHSCT患者15例を対象に, フェンタニル持続静注を12.5 μg/時より開始, 適宜増減して疼痛コントロールを行った. フェンタニル開始時と最大投与時の口腔粘膜障害grade, 疼痛スケール, 含嗽回数や歯磨き回数などのQOL指標を比較した. 【結果】フェンタニル開始の移植後病日は中央値で第7病日, 投与期間中央値は12日間だった. 最大投与量中央値は980 (243.8~3,010)μg/日でフェンタニル開始後中央値は5日目だった. 口腔粘膜障害gradeは投与開始時に比べ最大投与時は有意に上昇していたが, 疼痛スケールはむしろ有意に軽減しており, QOL指標は有意差なく維持されていた. 【結語】フェンタニル持続静注は, 粘膜障害悪化時も疼痛増強を抑えてQOLを保ち, セルフケア維持に寄与した可能性がある. Palliat Care Res 2011; 6(2): 246-252
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.6.246