根治切除術後に孤立性の肋骨転移をきたした尿膜管癌の1例

比較的まれな尿膜管癌術後の孤立性骨転移の1切除例を経験した.症例は77歳,男性.既往歴として,肺気腫・不整脈がある.2004年4月,尿膜癌に対して根治手術(膀胱全摘および回腸導管造設)を受けた.病理学的所見は高分化型腺癌(pT3b,n0,m0)であった.術後化学療法(CDDP+5-Fu)を2クール施行し,定期観察されていたが,2008年2月頃より右側胸部痛が出現.精査の結果,右第7肋骨に腫瘍を認めたが,その他臓器に明らかな異常を認めなかった.初回手術前に高値を示した腫瘍マーカーは基準範囲内であったが,原発性骨腫瘍または転移性骨腫瘍を疑い,胸壁切除(第6・7・8肋骨切除)および胸壁再建を施行した...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 3; pp. 821 - 825
Main Authors 岩崎, 昭憲, 稲田, 一雄, 吉田, 尊久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.821

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Summary:比較的まれな尿膜管癌術後の孤立性骨転移の1切除例を経験した.症例は77歳,男性.既往歴として,肺気腫・不整脈がある.2004年4月,尿膜癌に対して根治手術(膀胱全摘および回腸導管造設)を受けた.病理学的所見は高分化型腺癌(pT3b,n0,m0)であった.術後化学療法(CDDP+5-Fu)を2クール施行し,定期観察されていたが,2008年2月頃より右側胸部痛が出現.精査の結果,右第7肋骨に腫瘍を認めたが,その他臓器に明らかな異常を認めなかった.初回手術前に高値を示した腫瘍マーカーは基準範囲内であったが,原発性骨腫瘍または転移性骨腫瘍を疑い,胸壁切除(第6・7・8肋骨切除)および胸壁再建を施行した.腫瘍は3.0×3.0cmで,病理学的検査にて尿膜管癌からの転移と考えられる腺癌と診断された.術後化学療法(CDDP+5-Fu)を施行し,現在再発加療後約5年,無病生存中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.821