直腸癌側方転移と鑑別を要した閉鎖神経発生神経鞘腫の1例

症例は71歳,女性.発症から23年経過した全大腸炎型,再燃・緩徐型の潰瘍性大腸炎のサーベイランス内視鏡検査にて直腸癌を指摘された.造影CTおよびMRIにて左側方リンパ節領域に15mm大の腫瘤を認め,左側方リンパ節転移が疑われた.潰瘍性大腸炎関連直腸癌,T3N3M0,Stage IIIbの診断にて,腹腔鏡下大腸全摘,回腸嚢肛門吻合とともに左側方郭清を施行したところ,閉鎖神経に連続するように紡錘状に腫大する類円型腫瘤を認め,閉鎖神経を切離して腫瘤を摘出した.病理組織所見では,免疫染色にてS-100陽性,MIB-1 index 1.6%,異型核分裂像を認めず,Antoni A type主体の良性神経...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 850 - 856
Main Authors 浅井, 慶子, 三代川, 斉之, 石井, 大介, 千里, 直之, 山田, 理大, 谷, 誓良, 古川, 博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.850

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Summary:症例は71歳,女性.発症から23年経過した全大腸炎型,再燃・緩徐型の潰瘍性大腸炎のサーベイランス内視鏡検査にて直腸癌を指摘された.造影CTおよびMRIにて左側方リンパ節領域に15mm大の腫瘤を認め,左側方リンパ節転移が疑われた.潰瘍性大腸炎関連直腸癌,T3N3M0,Stage IIIbの診断にて,腹腔鏡下大腸全摘,回腸嚢肛門吻合とともに左側方郭清を施行したところ,閉鎖神経に連続するように紡錘状に腫大する類円型腫瘤を認め,閉鎖神経を切離して腫瘤を摘出した.病理組織所見では,免疫染色にてS-100陽性,MIB-1 index 1.6%,異型核分裂像を認めず,Antoni A type主体の良性神経鞘腫と診断した.術後にADLに支障をきたすような左下肢の神経学的症状は認めなかった.閉鎖神経発生の後腹膜神経鞘腫は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.850