三重県で発生したHEV genotype 1a株による急性E型肝炎の2例

三重県北中部地域でE型肝炎ウイルス(HEV)genotype 1a株による2例の急性E型肝炎が発生した.1例目は来日後1週間のネパール人で,2例目は三重県在住の日本人であった.二人の患者間に接触はなく,両者から分離されたHEV株の遺伝子解析でも関連性は認められなかった.前者はネパールで感染し,来日後急性E型肝炎を発症した輸入感染症例と考えられたが,後者は発症前約1年間は海外渡航歴がなく,国内感染例と考えられた.1型株の急性E型肝炎国内感染例報告は本邦初と考えられ,国内感染急性E型肝炎の原因として土着株のgenotype 3型株及び4型株だけでなく1型株も考慮しなければならないことが示唆された....

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Published in肝臓 Vol. 57; no. 2; pp. 81 - 88
Main Authors 山脇, 真, 浦城, 聡子, 高橋, 雅春, 岡野, 宏, 小林, 真, 白木, 克哉, 岡本, 宏明, 竹井, 謙之, 二宮, 淳, 前川, 直志, 中野, 達徳, 田中, 秀明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2016
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.57.81

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Summary:三重県北中部地域でE型肝炎ウイルス(HEV)genotype 1a株による2例の急性E型肝炎が発生した.1例目は来日後1週間のネパール人で,2例目は三重県在住の日本人であった.二人の患者間に接触はなく,両者から分離されたHEV株の遺伝子解析でも関連性は認められなかった.前者はネパールで感染し,来日後急性E型肝炎を発症した輸入感染症例と考えられたが,後者は発症前約1年間は海外渡航歴がなく,国内感染例と考えられた.1型株の急性E型肝炎国内感染例報告は本邦初と考えられ,国内感染急性E型肝炎の原因として土着株のgenotype 3型株及び4型株だけでなく1型株も考慮しなければならないことが示唆された.国内で発生した急性E型肝炎例についてはgenotypeを解析し,1型株による国内感染例の存在を把握していく事が,防疫上の観点からも重要であると考えられる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.57.81