保存的治療で軽快した門脈ガス血症を伴う非閉塞性腸管虚血の1例

症例は84歳,男性.高血圧,脳梗塞,認知症のために介護施設に入所中であった.嘔吐,下血を主訴に当院を受診し,発熱,頻脈と血液検査で炎症反応上昇を認め,CTで門脈ガス,右下腹部腸管の壁肥厚,腹水を認めた.腸管壊死を疑ったが,高齢,多数の併存症をもつことから耐術困難と考え保存的治療を行った.全身状態は徐々に改善し,第9病日から経口摂取を開始し,第55病日に介護施設に転院した.発症13時間後と第8病日の3D-CT angiographyから,非閉塞性腸管虚血(non-occlusive mesenteric ischemia;NOMI)に伴う門脈ガス血症が保存的治療で改善したと考えた.保存的治療が奏...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 2; pp. 537 - 543
Main Authors 三宅, 秀夫, 岩瀬, まどか, 小林, 陽一郎, 竹内, 英司, 宮田, 完志, 湯浅, 典博, 伊藤, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.537

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Summary:症例は84歳,男性.高血圧,脳梗塞,認知症のために介護施設に入所中であった.嘔吐,下血を主訴に当院を受診し,発熱,頻脈と血液検査で炎症反応上昇を認め,CTで門脈ガス,右下腹部腸管の壁肥厚,腹水を認めた.腸管壊死を疑ったが,高齢,多数の併存症をもつことから耐術困難と考え保存的治療を行った.全身状態は徐々に改善し,第9病日から経口摂取を開始し,第55病日に介護施設に転院した.発症13時間後と第8病日の3D-CT angiographyから,非閉塞性腸管虚血(non-occlusive mesenteric ischemia;NOMI)に伴う門脈ガス血症が保存的治療で改善したと考えた.保存的治療が奏効した門脈ガス血症を伴うNOMIの本邦報告は自験例を含め5例であった.門脈ガス血症を伴うNOMIであっても,初療の後に全身状態・腹部所見・画像所見の改善がみられれば,保存的治療が奏効する可能性がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.537